リタイア後のノウハウを学ぶには巷のFIRE本なんかより日本の定年本のが質が高いのでは?と思い至ってから最近はシニア向けの本を読んでたりします。
老人の知恵を借りよう
そんな中読んだ「老人の知恵」は田原総一朗さん(2024年時90歳)と養老孟司さん(87歳)が世の中の様々なことを対談した内容を纏めた本。田原さんは朝まで生テレビでお馴染みの政治ジャーナリスト、養老さんは「バカの壁」著者の医学者という割とお堅い肩書きの2人なので堅い感じの本なのかな?と思ったら、何というか割とフランクにお爺ちゃん同士がお喋りしてる内容で読み易かったです。本の序盤は養老さん趣味の昆虫採集の話から始まったりします、87歳で虫かぁ…小学生かよ。興味深かった話題を抜粋してご紹介します。
ジェンダーギャップ?日本は昔から「かかあ天下」ですよ
養老:その杉本鉞子がね、アメリカで結婚し、奥さんたちの集まりに出たら、日本はやっぱり遅れている、女性に権利がない、かわいそうだと言われるわけですよ。でも、日本では家計は全部奥さんが握っているという話をすると、むこうの奥さん方がね、私もそのほうがいいと言い出すわけです。これは彼女の著書『武士の娘』(ちくま文庫)に詳しく書かれています。だから外側の、いわゆる男性社会だけを見て、女性の地位が低い、ジェンダーギャップ指数が118位だって騒いでいるのを見ると、バカじゃないかと思う。明治時代からそうやって女性が社会を仕切ってきたんだと。
分かるなぁコレ…個人的にジェンダーギャップ指数で面白いなと思ってるのは日本国内における男女のネガティブ感情度差で男性の方が14%高いってこと。こんな比率になってるのは世界で日本だけで海外では女性の方が比率高め。また、うつ病も海外では女性の方が罹り易いけど日本では男性の方が多い。日本は男性をもっと幸せにして欲しいなぁと思いますね。
健康診断は受けない方が長生きする
養老:フィンランドで中間管理職くらいの中年の人を、医者が丁寧に面倒を見るグループと、いっさい面倒を見ないでほうっておいたグループに分けて比較したんです。そしたら、医者が面倒を見なかったほうが長生きしたという結果が出た。だから、余計な健康診断なんか受けず、病院は具合が悪くなったときに行けばいいんですよ。(中略)
田原:だいぶ前になりますが、「三世紀会」という政財界の重鎮の集まりを取材したことがあるんです。これは1800年代に生まれた人たちが、19世紀から21世紀まで3世紀を生き抜くぞという集まりで、当然参加者は皆80代。でも、みんなえらく元気でね。長生きの秘訣を聞いたら、「一生懸命健康のことに気を遣っている奴は、早く死ぬ。健康ストレスにやられてしまうんだ」と言うんですよ。これはどうですか。
養老:その通りですね。
田原:運動したり食べるものに気をつけたりして、健康に気を遣うこともストレスの原因だと。そう言いながら80代の連中が肉をむしゃむしゃ食っていましたよ。
養老:いいんですよ、それで。
コレも分かるというかやっぱりなぁって感じですね。自分は会社辞めるきっかけになったのが健康診断だったので、毎年強制的に受けさせられる前に辞めれたのは本当ラッキーだったなと思ってます。何だか九死に一生を得た気分になりましたね。リタイア後もウォーキングや筋トレとか何やら色々やってた時期もありましたが辞めて良かった様です。辞めた理由は健康診断のきっかけと近いですが、「これって健康に追われてるだけでは?そのストレスの方がよっぽど体に害な気がする」と思ってすっぱり辞めてました。今となっては健康も長生きも特に興味は無いんですが何やかんやその姿勢が良いみたいです。(とか言いながら病気で早逝するかもしれませんが…)
理想の生き方も死に方もない
田原:養老さんは理想の死に方ってありますか?
養老:ありません。あまり真面目に考えても仕方ないし、ついでに言うと、理想の生き方もありません。虫を捕ったり、野良猫を餌づけしたり、今楽しいと思えることを大事にできれば、それだけで十分です。
田原:その考え方は年寄りにとってとても大事ですね。同じ時間を過ごすなら、あれこれ悩むより、目の前の楽しいことに費やしたほうがいい、まったく同感です。
なんか養老先生好きだなぁと思います。昆虫好き過ぎて昆虫博物館作っちゃう所とか健康診断の考え方とかも何だか近いものを感じるし、この人の在り方は潔くて好感が持てます。
それにしても2人とも元気だなぁ…
